collaboyou教材ページ


2009 年 2 月 4 日

第3章 相手に“伝える“方法(1)

カテゴリー: 第3章 – admin – 6:21 PM

3-1 人が覚えられる量には限界がある

【事例】第4話 大学の授業内容を人に伝える 

月曜日、さとしとあなたは大学の授業に出ていた。今日の授業はコミュニケーション論の授業だ。さとしもあなたも久しぶりに真面目に授業を受け、終了と同時に学食へ向かっている。

今の90分、面白かったよな

だよな、久々に真面目に授業受けた気がするよ。特にコミュニケーションの話は面白かったよな。

学食までの道を歩きながら二人が授業の内容を振り返っていると、後輩のテニス部マネージャーが駆け寄ってきた。

さとしせんぱーい。今日の練習試合の対戦表もって来ました!!ところで、二人でさっきから何の話してたんですか?

今受けてきた授業がさぁ、超面白かったから、振り返ってたんだよ。

えーまりも知りたいなぁ。どんな内容だったんですか?

コミュニケーションは相手に伝わらないのが当たり前だって話だよ

他には??

え、他には・・・・

あれ?90分授業ですよね?

さとしとあなたは授業の内容が面白いと感じつつも、まりに復元して伝えられた内容はわずかワンメッセージだった。

(・・・・あんなに色んなこと聞いて面白いと思ったのに、実は全然覚えてないな。)

【解説】人の記憶量には限界がある

人が記憶できる量には限界があります。だからこそ、一番伝えたいメッセージは短く、簡潔にする必要があるのです。
人の記憶の限界に関しては、これまでの自分の生活を思い出してみても明らかだと思います。90分の授業をきいて、一語一句全てを覚えることは容易ではありません。忘れないために、授業をノートにとる場合でさえ、すべてを写すことはできないはずです。だからこそ、私達は知らず知らずのうちに、相手からのメッセージを取捨選択しているのです。あなたとさとしの場合は、90分の授業の中で教授が授業の冒頭で述べた「コミュニケーションは相手に伝わらないのが当たり前」というメッセージが印象的に感じ覚えていました。

伝えたい相手に伝えたい内容をちゃんと記憶してもらうためには、メッセージを短く絞り簡潔に伝える必要があります。
このことを、「貴方が現在置かれた環境に関して自分自身の意見を400字で述べよ。」というテーマで書かれた400字の文章に沿って考えてみましょう。

【文章例】
自分は、すごい環境にいます。『すごい』には根拠があります。第一に、1人で10個以上の性格が異なるプロジェクトを抱える環境です。その分野は地域関係からアジア問題、新規技術から業界標準化など多岐に及びます。従って、自分の仕事に直接の参考となるテキストはありません。その背景には、自分の仕事や研究が定形化されていないという要因が影響しています。第二には、その場で自分の意見を主張することが求められることが連続する環境です。ただ考えを述べるのは許されません。自分が述べた考えによりコミュニケーション相手に活発に議論を始めさせたり、時には相手に行動を促すことが求められます。第三には、肩書きとかの権威が使えません。ある場所で通用した知識や肩書きが次の現場では通用しないのです。東京の大企業の前ではプラスに通用する研究所(ラボ)の副所長の肩書きは、別の場所では、逆によそ者として怪しまれるマイナスに作用する原因なのです。

自分の考えに相当するのは、この回答例でいうと最初の15文字“自分は、すごい環境にいます。”です。アイデアが15文字以内など字数は決まっているものではありませんが、簡潔に表現することで、書く自分も読み相手もわかり易いです。また、最初に結論を書いておくことで、相手が取捨選択しやすくなり記憶に乗り懲ります。全体が400字であればその20%、最大80字程度でしょう。
自分の意見は短く、簡潔に。その意味では、まず文章の一番冒頭で自分の意見(主張)を簡潔に書いてしまうのは1つの有効な手法です。

補足 レポートも最初に結論を書く
レポートを書くときに、前置きから書き始めてダラダラと文章を書き連ねていて、ふと気付いたら「何を書いていたのかわからなくなった・・・」という経験はありませんか?
それを防ぐためにも、最初に意見を書いてしまうことは有効な手段です。